同人音楽こそHTML5でWEB配信

音系サークルとしてコミケや他即売会でCDを制作し販売している文化があるのですが、商用音楽を耳コピ、アレンジやリミックスする人や全くのオリジナルを創って販売しているのが主な活動です。CD-Rが安価になってから活動する人口が多くなり市場が拡大していきました。その参加する即売会での広告のためにWEB上でサンプルを配布などする姿はもうすっかり当たり前になってきました。
そこで、今まではWEB上で表示できるのは音楽などの音声が限界でした。が、Youtubeやニコ動がでてきたおかげで動画まで一般的になりました。それを可能にしているのがAdobe社がFlash Playerを無料でリリースしてくれているおかげなのです。Flashが見る人のブラウザにインストールされていれば見られます。ただそれは標準の規格ではなくAdobe独自の規格なのでユーザーが意識的にFlashをインストールしないと表示されないのです。

最近ようやくマイクロソフトのブラウザであるIE9の日本語版がリリースされたということでHTML5という新しい規格がほとんどのブラウザで標準で対応されました。
このHTML5を使うことで音声や動画が標準の状態でサポートされます。これで『Flashに関する注意書き』の文面から『最新版のブラウザでお楽しみください』という文面でよくなるのです。
といっても、一般的にFlashを入れるのは常識になっていて未だに音声や動画での主流はFlashのままです。ですが、「Flash作れないけれど音声や動画を自分のオフィシャルサイトで表示したい!!」とか「作品作るたびFlashをいちいち作るのめんどいので他の方法を探している」という方にはおすすめなのです。以下、Q&A方式でまとめていますので参考にしてください。


これから書くのは全てオリジナルで創っている人向けの話ですのでご注意ください。
基本的に元ネタがあるもので許諾受けていなければ全て違法です。


Q:HTML5になるって具体的になにが変わるの?
A:HTMLファイルの中身が変わります。<>で囲まれているタグの種類が増えました。


Q:HTML5で作るのに特別なソフトがいるの?
A:今までホームページ作成ソフトに頼っている人はHTML5に対応しないときついかもしれません。


Q:具体的にどうすればいいの?
A:音声ファイルや動画ファイルの形式を複数作りサーバー側にアップロードします。そしてHTML5のそれぞれのHTMLタグを書きます。


Q:なんで数種類の形式で作らないといけないの?
A:ブラウザによって見られるファイルの形式が統一されていません。ですが数種類あげることで見られるファイルを自動的にブラウザが選んでくれるのです。


Q:その数種類のファイル形式ってなに?
A:音声はoggとmp3。動画はmp4とwebm。ただし、動画はこれで本決まりではないのとサーバーや回線の負荷を考えるとYoutubeやニコ動など動画サイト経由での表示がおすすめ。その他付加サービスも発展していく見通し。


Q:注意するブラウザは?
A:Internet ExplorerFirefoxSafariChromeに対応しておけば大体の人が視聴できます。これ以外を使っている人であれば本人自身が解決策を知っています。ただしInternet Explorerはバージョンが9以上です。


Q:えっ?めんどくさ!Flashでいいじゃん。
A:もしこれからもFlashAdobeに付き合っていく覚悟でFlashの言語であるActionScriptを習得されているのであればFlashの方が自由度が高いです。奇抜なアイディアも実現できることでしょう。ですがそのFlash制作の時間を音楽や動画の制作には当てられません。もしHTML5で凝ったことをしたいのであればJavaScriptで機能を足すことができます。ただ、アニメーション自体はFlashの方がつくりやすいです。


Q:メリットってなにかないの?
A:HTML5に対応すればそのままでFlashに対応しないiPhoneでも視聴ができます。あと、人によっては今までと同じかもしれませんがグーグル先生をはじめとする検索エンジンにやさしくなります。


Q:HTML5自体まだ完成されてないって聞いたんだけど?
A:そのとおりです。ですが大筋は決まっていて公表されています。それでもコンテンツ制作者が気にしないといけないのは動画です。ブラウザ側がそれぞれどのコーデックに対応して落ち着くか?またユーザー側がそれをどう受け入れて定番化するのか?という問題は今後数年間は残っていきます。


Q:そんな状況で大丈夫か?
A:音声は・・・大丈夫だ。問題ない。動画は・・・やはりファイルの容量が大容量になりやすいのとどれくらいの人が同時に見られるか?となるとまだ個人レベルでは大手のサービスに頼るのが利口。


Q:それって動画の人にとっては意味ないよね?
A:全くだ。ただ、投稿サイトはコミュニケーションの場として、オフィシャルサイトでは発表の場として役割を分けたい場合は間違いなく一度は検討することになるでしょう。動画制作自体が敷居が高くコンピュータ的にもいろいろなところで負荷が高いので制限もいろいろあります。ですが今の人気っぷりを見ていると将来敷居が低くなり対応するサービスやプロバイダも多くなってくるでしょうし、動画はビジネスモデルに組み込まれるようになるかもしれません。


Q:音声関連が空気なんですけど?
A:音声規格も使用するにあたって安定しているのでどれも忘れられがちですがそれはユーザーに受け入れられて常識になりつつあるからと思っています。一昔前は「MP3なにそれ?」「PCでCDが聞けるの?なにそれ?」と理解もなかなかされませんでしたがiPodの普及により音楽との付き合い方や消費のあり方まで変わりました。また、ネット回線の速度も音声であれば許容されつつある状況ですのでネットと音声は親和性が高くなっています。むしろ今が一番便利に使える時ではと思いこのような記事を書くこととなりました。


Q:どこが「同人音楽こそ」なのですか?
A:この話の対象にしているのは、なぜか「同人音楽」という枠組みに固執しているインディーズの方なのですがやっていることはインディーズレーベルからCDをプレスして収入を得ている方と変わりなく誰にでも誇れることです。だからもっとアピールして良いしするべきです。そして、どうして「同人」に固執するのかはそれぞれの問題で自分が創った物を受け入れてくれる層が同人即売会に多いのならばそれはとてもスマートな活動です。しかし、特に制限をなくして受け止めてくれる人がいるところへアピールしたいというのであればライブハウスや路上パフォーマンスなどもどんどん可能な範囲で検討していくことでしょう。そして、一般的にネットで音楽など音声を楽しむことができる人口が増えました。ランニングコストとリスクが低く少ない覚悟で一般向けにもやりやすいのがネット配信なのです。


Q:ぶっちゃけそれで食っていけますか?
A:別問題ですのでひとまずビジネスモデルと活動展開の方法を考えてみてください。これまでの音楽ビジネスのやり方は崩壊しています。メジャー、インディーズ問わず資金に余裕がないので赤字リスクを最大限に避けなければいけない時代です。リスクが低ければ投資家も話しやすくなります。あとは利益と分配方法です。


Q:いちばん恩恵受けそうなのはどんな人?
A:いわゆるラジオドラマを創っている方だと思います。2chのステレオ音声だけでリスナーに場面を想像させストーリーを進めていくものですが小説から漫画になると同じように音声から動画になってしまうと別物になってしまいますので音声に留まるという選択が強いこと、音楽と違って通常1回目あたりで内容がわかればその後何十回もリピート再生されにくいので音楽よりは手元に置いておく必要がない。音声データから他に二次利用をしにくい。という性質なのが理由です。しかし、だから故に小説と同じく独特の楽しみ方であり他の方法では表現できない耳だけを使った想像の世界があると思うからです。この分野はユーザーの利用シーンを開拓することでまだ発展の可能性はあると考えています。


Q:二番目は?
A:ラジオ番組とかのトーク番組だと思います。生にするか録音なのかでHTML5の利用がわかれますが録音を公開する場合です。生は対応できませんのでUstreamとかニコ生を利用してください。システムとしての役割では放送時間内にリスナーをどれだけ集められ同時配信できるかです。支援してくれる機能がTwitterとの連動機能ですので大いに役立つことでしょう。さて、録音の配信で一番大事なのは運用だと思います。期間限定で配信するのか?過去のものも聞けるようにするのか?最新のだけにするのか?などが主なところです。変に過去から粗探しされても双方にメリットを特に感じないので容量の肥大化も防げるので最新だけ公開するというのが無難な気がします。これはニコ動などでプロの番組を視聴した際の感想からの共通点です。結局、連続して聞かないとわからないような内容よりもいつ聞いても楽しい内容で努力するほうがずっとリスナーフレンドリーだと思うのです。


Q:音楽ってそんなには恩恵ないの?
A:コラボレーションが上ふたつよりも容易であること。二次利用がしやすいこと。コンテンツとしては定番でニーズはずっと消えないこと。なので発表するだけなら低リスクであることと方法しだいで垣根のないアピールができることが最大の強みです。


Q:HTML5について実践的に参考になるサイトはないの?
A:HTMLの知識がない人はHTML5に対応しているソフトの取説かメーカーのサイト。HTMLがわかる人は


Q:コピーとか著作権対策が面倒なのですけど?
A:正直この問題に対応すると法的にもシステム的にも知識とかなりの労力が必要です。しかし、大手サークルもJASRACなどに登録していない限りそこまでガチガチに規制する必要はないと思っています。盗作された時の問題はそのコンテンツにそれだけの魅力があるという証拠でそこまでの魅力がない場合そんな問題は起こりえないのです。むしろ新しくコンテンツを継続的に創り出して視聴してくれる人に提案をしていくことがなによりの財産になり、その積み重ねがブランド力を高めていきます。これはとても建設的でプラスな事です。たとえその一部を真似されたとしてもあなたの制作スタイル、ブランドの本質まで全部コピーされたわけではありません。あなたのイノベーションはあなたにしかできない。そう考えてみませんか?